賃貸住宅に関するトラブルトピックス

【コラム】敷金の精算の相談は、誰にする?

ie住んでいるアパートを退去することになり、敷金のことで入居の時にお世話になった不動産仲介会社の人に相談したけれど、「大家さんに直接言ってくだい。」と言われてしまって困っている。そんな話を聞きました。

皆さんは、不動産会社さんが実際にどんな役割をしているかご存知でしょうか?

不動産仲介会社の仕事としては、お部屋を借主の方に紹介して、借主と大家さんとの間で賃貸借契約が結ばれ、物件が大家さんから借主さんに引き渡されれば、仲介(媒介)業務は終了になります。

もし、大家さんがその仲介会社さんとの間で管理委託契約も結んでいれば、引き続き管理業者として、おつきあいが続きます。不動産会社さんが管理業者となった場合には、大家さんの代わりの物件を管理したり、更新事務を行なったり、敷金・精算業務を行うことになります。

賃貸借契約書を見てみると、貸主と借主の欄の他に「管理の委託先」という欄があるので、そこで確認してみましょう。ちなみに、「管理の委託先」の欄に管理業者が書かれていなかった場合には、大家さんが物件の管理者となります。そのため、何か修繕が必要な場合や退去の連絡、敷金精算の相談などは大家さんにすることになります。

さて、不動産会社さんは、借り主さんが入居するまでの間と、入居した後とでは、立場が変わるのです。

借り主が入居するまでの間は、不動産会社さんは「宅建業者」という立場になります。そのため宅建業法の適用を受け、これに違反してしまった場合には、罰則もあるのです。

一方、借り主さんが入居した後は、不動産会社の立場は「管理業者」になります。管理業者になると宅建業法は適用されません。そしてこの管理業者さんには、必ず適用される法律というのが今のところは存在しないのです。

これを受けて、平成23年12月に賃貸住宅管理業者の登録制度というものがスタートし、登録業者には、貸主や借主の利益保護を図るために、一定の説明義務が課されることになりました。但しこの制度はまだ任意の制度で、登録義務はありません。ですので、管理業者さんが必ずしも登録しているとは限りませんが、もしも登録業者さんであったならば、貸主と借主のために適正な賃貸管理業務を行なっている業者さんであることの証にもなるかと思います。

冒頭のケースに戻りますが、この事例は入居時に物件を仲介してもらった不動産会社が管理業務までは担当していなかった、というケースです。そのため、敷金については不動産仲介会社さんでは相談に乗ることができないため、直接大家さんに言ってください、と言われてしまった、というわけなのです。決して、不動産会社の人が冷たい人だった、というようなわけではないのです。

敷金の精算や原状回復費用のことで、大家さんと直接うまく話し合いができなかった場合には、第三者を間に入れて話し合う、「調停」という方法もありますよ。調停は、裁判のように公開されることもありませんし、比較的安価で、迅速にトラブルを解決することができます。

また、あなたが不動産の管理業者さんであった場合には、補佐人として当事者の方と一緒に調停に同席することも可能です。

当事者の方でも、不動産会社の方でも、敷金の精算や原状回復でお困りなら、まずは一度、お気軽にお問い合わせください。事前相談までは無料です。

また、2016年3月26日〜6月25日は、1週間前のご予約ですぐに話し合いができる調停手続き「1DAY調停」も実施中です。