今年も9月20日から動物愛護週間が始まりました。動物愛護週間は毎年9月20日から9月26日まで、と日にちまで法律で定められている数ある法律の中でもとても珍しい例です。
さて、この動物愛護週間ですが、もともとは戦後日本を占領したGHQの指導で制定された「動物愛護デー」が始まりだったそうです。動物愛護週間は当初は5月辺りに設定されていたそうなのですが、北海道ではまだ5月は雪深く、全国レベルでイベントを行うにはあまり相応しくないため、9月のこの時期に移動された、ということのようです。
日本は西洋に比べて動物愛護の精神が立ち遅れている、といわれることがありますが、動物の愛護を世界で最初に法律に取り入れたのは日本でした。江戸幕府の5代将軍である徳川綱吉が制定したかの有名な「生類憐みの令」です。日本が動物愛護法の発祥の地と考えると少し不思議な気もしますが、これには古来よりの文化も影響しています。もともと西洋のキリスト教思想では動物は神が人間に与えたもの、であって人が利用するために生み出されたもの、と考えられていました。その一方、東洋の仏教文化の輪廻転生は、人は動物の生まれ変わりで、動物もまた人の生まれ変わりである、という考え方がもとにあって、動物と人間がより近い存在として考えられてきたといえます。動物に人間と同じようなお墓や動物塚を作って供養するような例は世界的に見ても珍しいものといえるでしょう。
愛護の考え方は人それぞれです。どういう愛護が正しいのかということはまだ決められたものではありません。動物が好きな人がいれば嫌いな人もいます。お互いの立場や考え方を尊重しながら人と動物の付き合い方も考えていくことも必要なことでしょう。
今年も各地でさまざまな動物愛護週間に関連したイベントが催されています。動物と人との関係、動物を介して人と人との関係――そんなことを考えてみるにはいい時期かも知れませんね。