賃貸住宅に関するトラブルトピックス

【コラム】退去時には、クロス(壁紙)の全面張り替えが必要?

クロス(壁紙)とは、建物の壁や天井の内装仕上げ材として用いられるシートの事です。

当センターにおいても、「部屋を退去する際に、壁の一部に傷を付けただけなのに、部屋全体のクロス(壁紙)の張り替えが必要だと言われた」等の相談・トラブルをよく耳にします。

なぜこのような相談・トラブルが多いかと言うと、借主が汚してしまった・傷つけてしまった部分と、実際に補修工事をする範囲にギャップがあるためです。

クロス(壁紙)の場合、毀損箇所が壁のごく一部であっても、他の面との色あわせや模様あわせをしないと商品価値を維持できないことから、貸し主は、毀損部分だけでなく、部屋全体の張り替えを行なうことが多いのです。ただ、この原状回復費用を負担する対象範囲に、借り主としては違和感があるということです。

このような退去時の賃貸住宅の原状回復として一般の方々にとって目安となるのが、国土交通省が取りまとめた「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン(再改訂版)」です。

退去時の原状回復においてトラブルが多いために国土交通省がトラブル解決のための指針として、原状回復においての負担対象項目の目安を示しています。

今回のような、クロスの張り替えについて、ガイドラインでは、借主の負担については「㎡単位(での負担)が望ましい。」としています。ただし「借主が毀損した箇所を含む1面分までは、張り替え費用を借主負担とする事もやむを得ないとする」としています。

また、タバコやヤニによるクロス(壁紙)の補修については「喫煙により当該居室全体においてクロス等がヤニで変色したり臭いが付着した場合のみ、居室全体のクリーニングまたはクロス(壁紙)張り替え費用を借主が負担する事が妥当」とも記載されています。

以上のガイドラインの観点からみると、壁の一部分に傷をつけてしまった場合、喫煙等でクロスを汚損させたような場合を除いては、部屋全体のクロス(壁紙)張り替えに応じる必要は必ずしもなく、傷をつけた部分の「㎡単位での張り替え、若しくは、借主が毀損した箇所を含む1面分」を負担するのが望ましい、と言えます。

ただ、ガイドラインはあくまでも指針なので、実際には個別の事例によって部屋の状況や契約内容は違うため、原状回復の負担部分をどうするかは、あくまで当事者同士の契約や話し合いによります。

ちなみにこのような内容は、仮に、契約書で原状回復に関する取り決めをしていた場合でも、当事者に原状回復の負担割合について「認識の相違」で、トラブルに発展する場合が少なくありません。

そんな時には是非、「調停(ADR)」という話し合いで、紛争を解決できるということを思い出してください。

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