「遠足で,お弁当を楽しみに山登りをがんばりました。」
「運動会で,友達と一緒に食べたお弁当はおいしかったです。」
日本では,小学校時代に,秋の行事の作文で,このような文章を書いた覚えのある人は多いのではないでしょうか。しかし,国によっては,「遠足」「運動会」といった学校行事がないことや,「弁当」を持っていくという文化や習慣がないこともあります。
たとえば,ある国では,そもそも冷たい食事をとる習慣がないため,冷えた食事を持ち歩く「弁当」のような習慣はないそうです。
もし,このような国から日本に来た外国人の児童生徒が,通っている学校から,突然「明日は遠足なので,お弁当を持ってきてください。」と言われたら,本人はもちろん,保護者も困ってしまうでしょう。
逆に,日本に生まれ育ち,弁当を持って遠足に行くことをおなじみの学校行事と思っている人からすれば,「弁当」を理解できない人がいることに戸惑いを感じるかもしれません。
(ちなみに,弁当は,最近では「BENTO」という言葉がそのまま通用するくらいに海外で注目を集めているそうです。日本の弁当は,日本ならではの独特なものであるようです。)
また,とある国の出身者の話によると,日本に来て間もないころ,学校から,行事に弁当を持ってくるように言われて,「学校に給食費を払っているのに,どうして学校が昼食を用意してくれないのだろう?」と,違和感があったそうです。
これは,学校側にしてみれば,当然,ふだんの給食と行事の弁当は別のもので,わざわざ言うまでもないと思ったのでしょう。しかし,そのことを知らない人は,何の説明もなければ,なぜなのかわかりません。
言語や宗教の違いに比べると,学校行事や弁当など小さなことにも思えますが,小さなことでもストレスやトラブルにつながることがあります。
文化や習慣が異なると,自分には当たり前のことが当たり前ではない場合がある,ということを知っておくのは,とても大切なことだと思います。