自転車事故に関するトラブルトピックス

【コラム】高額にもなる、自転車事故による賠償額

342755東京都内の自転車による交通事故の発生状況に関する警視庁の資料によると、平成26年の事故件数は、前年比マイナス約13%で、事故件数そのものの傾向としては、減少の流れにあります。

しかし、平成21年から平成25年まで年々減少していた自転車乗用中の死亡事故においては、平成26年は、前年比7名の増加になっています。また、東京都内における交通事故の死者・負傷者に占める、自転車乗用中の死者・負傷者の割合は、全国と比較しても高くなっており、特に死者数は、前年からもその割合が3.6%も増えています。

平成26年中の、自転車対歩行者の交通事故では、全国における事故のうち31.1%が都内で発生しており、東京都は自転車事故がとても多い地域、と言うことができるのです。

ここに、気になる事件がいくつかあります。

● 2003年 東京地裁 判決 (自転車と歩行者)
男性が下り坂を猛スピードで走行し交差点で歩行中の女性と衝突。女性は3日後に死亡。
⇒ 約6800万円の賠償金の支払いが命じられた。

● 2007年 東京地裁 判決 (自転車と歩行者)
自転車走行中の男性が赤信号を無視し交差点で歩行中の女性と衝突。女性は11日後に死亡。
⇒ 約5400万円の賠償金の支払いが命じられた。

● 2013年 神戸地裁 判決 (自転車と歩行者)
小学生の乗った自転車が走行中、女性をはねて寝たきり状態となった。
⇒ 約9500万円の賠償金の支払いが命じられた。
(※児童の母親に賠償金の支払いが命じられた。)

自転車と歩行者の事故が増えていることに連動するように、事故による加害者への賠償金額も高額化の傾向にあります。もちろん、相手の方が亡くなられてしまった場合や、長く影響の及ぶ後遺症を負うこととなった方やご家族にとっては、とてもとてもお金などでは賠償しきれないことです。

けれども、加害者側も、一生かけても返済しきれないほどの多額の義務を追うことになり、身近な「自転車」という存在が、実は、とても大きなリスクと背中合わせであることがわかります。

自転車に乗る人は、日々の安全運転に心がけ、交通量の多い道や見通しの悪い交差点などでは十分に気をつけたいものです。また最近は、自転車保険の情報もとても増えてきていますので、自転車によく乗る方は、一度、検討されてみるのも良いと思います。

そしてもし、残念ながら事故を起こしてしまったり遭ってしまった場合で、相手の方と話し合いがうまく進まない場合には、調停という方法もあることを思い出していただければと思います。

※参考
警視庁HP 都内自転車の交通事故発生状況