外国人に関するトラブルトピックス

【コラム】外国人と日本人の交渉

海外から人材を受け入れる企業のために、日本での外国人向け研修を行っている会社から、こんな話を聞いたことがあります。

ある国の人たちにとって、企業で働く上で賃金を交渉することは当たり前のことであり、そのため、彼らは賃金交渉を特別なこととは思っておらず、日本で働く場合にも、その習慣をそのまま持ち込む。

しかし日本では、賃金交渉をするということはそれほど一般的でなく、ましてや小さな企業では、そういう行動は目立ちやすく、上司や社長さんが戸惑うのはもちろん、同僚たちの心象も悪くなってしまうことがある、というわけです。

そこでその会社では彼らに、日本で賃金交渉をするということは想像しているのとは違った意味をもたらし、場合によってはやりにくい人、というイメージを与えてしまう可能性があるので、それを理解して行なうように、と伝えるのだそうです。

彼らも、本当に賃金に不満があるとは限らず、習慣として賃金交渉している可能性もあります。そうなれば、彼らにとっても、無駄な誤解を受けるリスクを事前に知っておいた方が、良いということになります。

「ハーバード流交渉術」という本の序文にこんな表現がありました。

~アメリカ人が交渉に挑むときは、まるでカウボーイのように振る舞うことがある。~交渉は敵対者間の闘いと見られている。~(日本人の)交渉は、友人同士の話合いであるかのごとく運ばれ、あからさまな対決はなるべく避けようとする。

「交渉」によって自社にとって有益な結果を導きたい、という「目的」は同じであっても、アプローチの方法は、文化が違えば全然違う、ということですよね。

外国人が日本の企業で働く上で、あるいは、外国人が日本の学校で学ぶ上で、待遇やいじめなど、トラブルが起こった場合には、調停によって話し合って解決する、という方法もあります。

外国人を雇用している企業や、外国人を受け入れている学校においても、そのような状況をなるべく早く、勝ち負けつけるようなやり方ではなく、解決したい、という場合には、「調停」という方法を検討されてはいかがでしょうか。